多くの日本人が抱える体の不調といえば、肩こりです。
日常生活に支障をきたすほどひどい肩こりの人もいる一方で、肩こりとは無縁な人がいることも事実。
この違いは一体どうして生まれるのでしょうか。
この記事では、肩こりの概要と、肩こり解消に役立つ基礎的な知識をご紹介。
肩こりによくある症状と原因
肩こりとは、通常、首から肩甲骨あたりにかけて生じる重たく、にぶい痛みのような症状をいいます。
肩こりはこったような症状があるだけで、正式な病名ではありません。
なぜ、肩こりの症状が出るのかというと、原因はさまざまです。
肩は頭の重さと二本の腕を支えているため、普通に生活しているだけでも負担がかかりやすい場所です。
おまけに、日本人は西洋人に比べて頭が大きい割に、肩や首の筋肉は華奢なので、肩こりが起こりやすいといわれています。※2
実際、厚生労働省の「国民生活基礎調査(平成28年)」によると、女性が感じる自覚症状の第一位が肩こりで、男性でも第2位に上がっています。※3
肩こりは日本人の国民病といえるでしょう。
肩こりの症状としては、首すじや首の付け根から、肩、また場合によっては背中にかけて張ったような不快感があります。
これがいわゆる「肩がこった」状態で、ときには痛みを伴ったり、頭痛や吐き気まで起こることもあります
吐き気までもよおすことは稀かもしれませんが、実際にデスクワークをしていた人が、「頭痛がしてから吐き気がしてきた」「パソコンを見て仕事をしていたら、だんだん具合が悪くなり、トイレや休憩室で動けなくなった」というのは、めずらしい話ではありません。
なかでも肩こりによる頭痛に悩む方は多く、頭痛には片頭痛や群発頭痛などさまざまな種類がありますが、肩や首の緊張、つまりこりが原因となる頭痛(緊張型頭痛とよばれます)が全体の7割を占めています。※4
肩こりには、肩のさまざまな筋肉が関係しますが、なかでも影響が大きいのが、首の後ろから肩、背中にまで広がっている「僧帽筋」という大きな筋肉と、首の骨と肩甲骨をつなぐ「肩甲挙筋」と言われています。
僧帽筋は重い頭を一定の角度に維持したり、肩甲骨を動かしたりといった重要な役割を持ちます。
肩こりは筋肉や関節などだけが原因とは限りません。
中には、骨や神経などの器官の病気が原因で引き起こされることもあります。
下記に挙げるような症状が見られる場合は病気が疑われるので、放置せずすぐに病院を受診しましょう。※1
- 階段を上るときなど、運動をしたときに肩が痛むが、痛みの続く時間は短い。
→心臓の病気の可能性があります。 - 肩こりだけでなく、手のしびれや麻痺もある。
→首や肩の神経や血管が圧迫されている可能性があります。 - 首や肩を動かしていないときもひどく痛む。
→骨や内臓の病気の可能性があります。 - 症状がだんだんひどくなる。
→進行性の病気の可能性があります。
肩こりになる人とならない人の違い
これまで見てきたように、肩こりは同じ姿勢を続けることや眼精疲労、精神的なストレスなどによって引き起こされる症状です。
肩こりになる人に共通しているのは、日頃から肩こりを起こしやすい生活習慣があるということです。
対して肩こりになりにくい人は、肩こりを起こしにくい身体を持っています。
では、肩がこりやすい人はどうしたらいいのでしょうか。
その鍵を握るのは、毎日の生活習慣です。
生活の中に潜んでいる肩こりの原因を突き止めて、肩こりが起きにくい習慣を新たに身につけることが不可欠です。
肩こりをなんとかしたい方へ!簡単にできる肩こり解消法
同じ姿勢、眼精疲労、精神的なストレス、運動不足の4つは代表的な肩こりの原因とされています。※2
以下に、それぞれの原因ごとの対策をご紹介しますので、生活習慣改善の参考にしてみてください。
同じ姿勢でいることが原因の場合
デスクワークなどで、長時間同じ姿勢でいる場合には、こまめに首や肩を動かして緊張状態をほぐすように心がけましょう。
肩や首を回す、軽いストレッチなどをするとよいでしょう。
また、デスクワークをしていると肩や首だけでなく全身の血行が悪くなりますので、1時間に1度は立ち上がって、手足を伸ばす、軽く屈伸するなどの運動をすることも大切です。※2)
さらに、姿勢の悪さも肩こりに影響します。
猫背でいると、頭を支えなければならない肩や背中に負担が生じますし、筋肉が緊張することで、血行不良になりがちです。
肩こりを軽減するためにも、意識して正しい姿勢をとることが大切です。
立つ姿勢を続ける場合には、顎を軽く引き、ヘソのあたりを意識しながらお腹を引っ込ませると同時に肛門を締めて、背中がすっと伸びるよう意識して立ちましょう。
耳と肩、くるぶしが同じ直線状に並ぶのが理想的な立ち方ですので、一度鏡で見て確認してみるとよいでしょう。
椅子に座る場合も、立つ場合と同様に顎を軽く引いて背筋を伸ばすことが大切です。
お尻が椅子の背もたれに当たるように深くこしかけて、背中は背もたれに当てずに少しそらすイメージで伸ばすと良いでしょう。